Tuesday, June 09, 2009

思考迷走の絶対零



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 │ 思考迷走の絶対零
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   今朝はガーデナーが来、芝刈りと庭の落葉の掃除などをしていたけ
  れど、まさに曇天。今にも涙しそうな空模様を見上げて、実はこうい
  う今にも涙しそうな空模様と影を落とした景色はたまらなく好きなの
  だけれど、それは心中が穏やかな時であって、今朝は心中も曇天な俺
  だ。
   昨日は終日弁護士を招いて話し合いを持った。内容は獄中に入る奴
  の出所後の諸問題。中でも、奴が全財産を預けた人間がそれを私して
  しまった(実は日曜に日本へ一足先に出国したことが判明)問題につ
  いて容疑者不在のまま、告訴するかどうかを含めてのもので、きょう
  午後には弁護士から裁判所への所定の手続きをするということに合議
  した。勿論、日本へ出国した人間は、再入国時点で身柄拘束となるこ
  とは確かだから、後は出所後の奴と当該の人物との問題。俺等はここ
  まで。弁護士を送り、これで一とつ肩の荷が降りたという、少し晴れ
  晴れした思いだったんだけど───。
   奴がどうしても連絡を取ってくれという、奴の彼女からようやく電
  話が来た。いちばん彼女のことが不安だったに相違ないと意う俺は、
  最近の消息を訊ねた後、奴から手紙を書きたいからアドレスを教えて
  欲しいという依頼を改めて述べたら───
  「もう彼のことは忘れようと思います。Vさんのお心遣いは嬉しいけ
  ど、もう彼氏もいるんです。来月ニューヨークに越すことになって」
   これはもう致し方ない。問題はその後につないだ彼女の言葉だった。
  「あの、●●さん(奴)と■■さんはドラッグの元締めだったんです。
  私、警察の事情聴取でもそれは知らないと言い切りましたけど、実は
  あの二人はそうだった」
  「君、■■さんんってあのジェラート屋さんの女性のこと?」
  「そうです。彼女は結婚しては離婚を繰り返して、慰謝料で食べてた
  人なんですけど、もうお年だし、それも無理だったところに、ドラッ
  グがお金になると───それで●●さんを誘って───」
  「最近は姿を見せないけど───」
  「●●さんが捕まって、口を割られたらと思ったんでしょうね。日本
  へその後手早く、『お見合いがあるのよね』と永久帰国しました。か
  なり急ぎだったようですから、怖かったんでしょう、自分に手が伸び
  てくるのが───」
  「───」
  「それもそうだったけど、●●さんお店を売るって。私仕事柄(彼女
  は企業コンサルタント)、日本のちょっと大きなレストラン事業家が
  こちらでお店を出したいという希望で、●●さんが逮捕されたその当
  日、会う約束をしてたんです。でも、捕まったから今になって見れば

  「なんで?」
  「会う約束をしてたのは、▽▽さん(あのS価学会幹部)でしたから。
  会わなくてよかった。契約までいっていたら、資金はどうなるか判ら
  なかったでしょ?。Vさんのお話でゾッとします、今」

   いやぁ、心中は一挙の曇天と化し、彼女がニューヨークに旅立つ前
  に飯でも喰おうという声もどこかの声のような気がして受話器を置い
  たのだった。容易ならざる事態に。
   むぅううん。
   どうしたものか。炭水化物をゼロにしているから、頭が働かない。
  パティオには冷たい風。瞑目しては逡巡をし、溜息ばかりをつく俺。
   なにやら難題は軽そうではなかった。

                            - 了 -

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